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第143回 「夢」

開催日時
平成24年1月27日(金) 14:00~17:00
討議テーマ
夢について
開催場所
東京ウィメンズプラザ
参加者
土岐川、塚田、下山、松本、大瀧、平賀、伊藤(雅)、伊藤(光)、川上、望月

討議内容

今回は、三人の新しい方が参加してくれました。伊藤さんはご夫婦で参加。ご主人は、産業カウンセラーとして、奥様は、生け花の先生としてともに活躍中です。もう一人川上さんは、アルバイトをしながら東南アジアへの放浪の旅を体験したり、人里離れて島根県にこもっていたりと、現在生きる道を模索中とのこと。それぞれの経験をベースに活発に議論に参加してもらえることを期待しています。

今回は、「夢」と題して議論した。夢とは一体何なのだろうか。夢には、大きく二つの異なる世界がある。一つは、眠っているときに見る夢であり、もう一つは、未来に抱く夢である。そこで、先ずはじめに眠っているとき見る夢について考えてみることにした。そして、参加者一人一人思い出のある夢について語ってもらった。有名になろうともがいていたころ、どこからか落ちる夢をよくみたとか、夢の中でも仕事をしていたり、金縛りになったりと、多くの夢が、あまり良い夢ではないようだ。そうした夢の源を考えていくと、現実の営みの中で、時として無意識に抱いている現実世界への反感であったり、人の道として歩んではいけないことへの警告であったりと、自身の抱いている無意識世界の表れが夢として見られていることに気付かされる。

 有名になろうと生きているときに、夢の中でどこからか落とされるというのは、有名になろうとする欲望への警鐘であるのかもしれないし、いやいやながら仕事をしているときなどは、物事が思うように果たせない夢となって表れてきたりと、現実の行動に対して無意識的に抱いている心の世界が、夢の中で具現化してくるように思われる。それは、夜空に輝く星のようなものかもしれない。星は、昼も夜も宇宙の彼方で輝き続けているが、太陽が昇ってくると、太陽の光が強すぎて、星の輝きを覆い尽くしてしまう。それと全く同じように、無意識の世界で抱く思いは眠っているときも目覚めているときも在りつづけているが、目覚めているときには、目覚めた意識が強くなり、無意識の世界を覆い尽くしてしまうが、眠りに入ると、その無意識の世界がよりはっきりとした形で浮き上がってくる。夢とは、一人一人の無意識の世界に抱いている心模様なのであろう。

夢と現実とで大きく異なるのは、現実は肉体に支配されているために、五感が捉える時空とかかわった世界での出来事であるのに対して、夢は肉体の束縛から解放され、心が時空を超越して自由に飛び回ることができる。現実世界では、因果が成り立つのに対して、夢の世界では因果を超えて、非論理的な世界が表出してくる。だから、現実世界では、亡くなった人と出会うことはないが、夢の中では会うことができる。

こうしたことを考えてくると、私たちが現実だと思っている世界は、肉体の存在によって生み出されてくる世界であり、それは肉体の消滅とともに消えていくのに対して、夢の世界は、たとえ肉体が消え去ったとしても在りつづけている世界なのではないかと思えてくる。そして、肉体に束縛された現実世界の中での様々な行動に対して、人として本来なさねばならない理想的な姿を無意識の世界はもっていて、その基準に照らし合わせて、現実世界での行動をより善的なものに向かわせようと働いているのではないだろうか。そして、現実の世界での善行が、精神を浄化させ、在りつづけている魂を浄化させているのかもしれない。

長年花や木とかかわってきた伊藤さんは、花や木にも人間の精神のような精が存在していることを感じるという。そうした人間の精神と共鳴する心の世界は、全てのものにあって、そこには、宇宙全体と調和した世界が自ずから築かれている。これに対して、人間には、肉体とかかわる自我があるために、時として宇宙全体との調和を乱すことが起きてくる。そうした宇宙全体との調和とかかわった世界も、夢の中に描かれてくるのではないだろうか。すなわち、人間の作り上げている社会が、宇宙全体と調和しているときには、個々人の見る夢は、心優しい夢であるのに対して、それが宇宙の調和を乱しているときには、悪夢のような世界が展開してくるのかもしれない。

眠っているときに見る夢に対して、現実世界の中で、未来を見つめた時に見る夢は、意識が覚醒しているときに見る夢である。それは個々人の願望であると同時に、より良い人間社会を作り出すためのものでもある。肉体とかかわっているから、より現実的でありながら、理想とする世界である。こうした夢を抱くことで、それが目標になり、個々人の努力を促すエネルギーになってくる。それもある意味で、心の浄化、精神的進化とかかわってくるであろう。こうしたことを考えると、夢には、人間の心の中にある悪魔の台頭への警鐘が込められているのかもしれない。

次回の討議を平成24年3月23日(金)とした。       以 上

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