- 2005-04-08 (金) 0:50
- 1990年レポート
- 開催日時
- 平成2年12月21日(水) 14:00〜17:00
- 開催場所
- サントリー株式会社 東京支社
- 参加者
- 古館、多田、佐藤、望月
討議内容
今回は、多田さんの書かれた、「米国テーマパーク開発と経営ソフト<視察レポート>」を中心に、ウォルトディズニーワールドリゾートの持つ魅力を人間の心の不易牲に焦点を当て討議を行った。
「テーマパーク視察報告について」(望月レポート)では、ウォルトディズニーワールドリゾートに見られる人間の不易性として次のキーワードを抽出している。
- 人間のもつ夢
- (現実)
- 遊び心
- (仕事)
- 清潔感(審美的欲求の充足)
- (不浄)
- 非日常
- (日常)
- 隣人愛
- (憎しみ)
- 未知との遭遇
- (既知)
- 知性よりも感性へ
- (知性)
- 時間の超越
- (時間の束縛)
- 本当の幸福
- (見せかけの幸福)
左側のものが抽出されたキーワードであるが、そのキーワードの対語を括弧の中に示してある。これらを比較すると、左側のキーワードは、時代を越え空間を越えた人間の不易性を表しているのに対し、右側の対語は、きわめて現実的なものである。これらのことから、ウォルトディズニーワールドリゾートの持つ一つの魅力は、人間の心の不易性を空間や、見せ物に巧みに表現していることであると言えよう。従って、テーマパークやリゾートの開発においては、すでに開発された物をただ単にまねると言うことではなく、それらの物をどう組み立てて、非日常的な感性に訴えかける空間や雰囲気を作り出して行くかが重要となる。
<場>を提供するテーマパークやリゾート開発においては、目先の経済観念だけで開発してしまうと失敗してしまう。そこには、経営者の哲学が表現されていなければならず、その表現に利用者は魅せられるのである。ディズニーは、死を非常に恐れていた人だと言われているが、ディズニーのディズニーワールドに託したテーマは、「生と死」であったのかも知れない。そして、そこには、生命の永遠性が様々な形で表現されている様に思える。
<場>は、物や、書き物と違って、直接見せることが出来ないものであり、唯一の情報は、そこで過ごした人の感じ方である。従って、人の口こみなどによる情報が、テーマパークやリゾートの成否に大きな影響を与えてくる。
後半のテーマとしては、古館さんに、キリスト教を中心とした宗教観を語っていただいた。宗教の中味その物は、色々な形で歪められていることが多く、偉大な宗教家ほどある一つの物を信じていないと言われている。それは、時代によって、様々な教典が、道理に合わなくなってくることがあるからであり、信じてしまうと、道理から背いていることに対しても変えることが出来にくくなってしまうからである。キリスト教は、あまり曖昧性が無いが、仏教では、否定の肯定というように、一つのものの中に相反する二つのものが含まれているような曖昧さを持っている。そういう意味からすると、関西人の方が関東人より曖昧性を含んでいて、より仏教の影響を帯びていると言えるのかも知れない。この点に関してはまだ調べてみる必要がある。
配布資料
- テーマパーク視察報告
- キーメッセージカタログ VOL.1
- 東京駅トワイライトシンポジウム案内資料
次回の打ち合せは、平成3年2月5日(火)または6日(水)、15:00〜18:00の予定にした。確定次第連絡します。
以上
- 新しい記事: 第3回 「人間の不易性」
- 古い記事: 第1回 「人間の心の不易について」